ブルーベリーが「酸性土壌」を好む理由

長野の安曇野にあるオーガニックブルーベリー農園「ブルベリーの森あづみの」

現在はブルーベリーはオフシーズンですが、剪定などの作業はけっこう忙しい時期ではあります。

今年も美味しいブルベリーの販売や、ブルベリー狩りなどが楽しめるように頑張っております。

さて、ブルベリーは一般的には「酸性土壌」を好む植物と言われていいます。

今回は、ブルベリーが酸性土壌を好む理由について書いてみました。

目次

酸性土壌はどのような環境か

酸性土壌の特徴として

  • カルシウムが不足する
  • マグネシウムが不足する
  • アルミニウムが流出する

といった特徴があります。

マグネシウムやカルシウムといった植物が比較的多量に利用する栄養素が、土壌に吸着されたりして、利用しにくくなり、生育を阻害します。

また、アルミニウムや鉄などが溶けだしやすくなり、これらが、植物の根の生育を阻害する場合があります。

また、有機物が分解される過程の

タンパク質⇒アミノ酸⇒アンモニア態窒素⇒硝酸態窒素

という流れの最後の、硝酸態窒素をつくる硝化菌の働きが悪くなるため、硝酸態窒素ができにくくなります。

多数派である硝酸態窒素を利用するタイプ植物の生育は悪くなります。

一般的には、酸性土壌は植物にとっては生育しにくい環境であると言えます。

酸性土壌に耐えられるブルベリー

ブルベリーが酸性土壌の過酷な環境に耐えられる要因として考えられるのが、菌根菌との共生です。

菌根菌は、成長阻害物質の吸収を制限し、土壌に吸着されやすい栄養素を再び利用できるようにする働きがあります。

ブルベリーなどのツツジ科の植物にはエリコイド菌根菌という種類が共生する場合が多いようです。

ブルベリーだけではなく、同じく酸性土壌に生育する茶などはアーバスキュラー菌根菌という菌根菌との共生に依存しています。

酸性土壌のブルベリーへのメリットは?

酸性土壌に「耐えられる」ことは、自然の生態系の中で生きるには、生存戦略としての意味を持ちます。

しかし、水耕栽培などの実験では、酸性土壌でのブルベリーの生育が「優れている」という結果が出ているようです。

これは、ブルベリーが利用している窒素の形として、主に「アンモニア態窒素」を利用しているからと考えられています。

有機物や有機質肥料を与えた場合

①タンパク質⇒②アミノ酸⇒③アンモニア態窒素⇒④硝酸態窒素

という流れで、植物に吸収されます。

基本的には③のアンモニア態窒素か④の硝酸隊窒素の状態で吸収されます。

また、共生菌などの働きで②のアミノ酸から直接吸収できる場合もあるようです。

「アンモニア態窒素」と「硝酸隊窒素」のどちらを吸収しやすいのかは、植物によって異なり、ブルベリーや茶、栗、イネなどは③のアンモニア態窒素を利用し、その他の多くの作物は④の硝酸隊窒素を利用します。

アンモニア態窒素と硝酸隊窒素は、全く異なるものではなく、土壌酸度が弱酸性から中性付近ですと硝化菌の働きにより硝酸隊窒素になりやすいというだけです。

これが、栽培で土壌pHの調整をする理由の一つです。

無機態窒素の吸収という面で、硝酸隊窒素を吸収しやすいブルベリーには、有利ということになります。

養液を使ったポット栽培では、効率的にアンモニア態窒素を吸収できる状態を作っているので初期成長がかなり早いのはこのような理由によると考えられます。

施設費用はかかるものの、初期成長が遅いブルベリーの弱点を見事に克服しているとも言えます。

生育段階にもよるのかもしれない

しかし、地植えブルベリーの生育を見ていると、ある程度、ブルベリーが成長してくると、土壌酸度(pH)の影響が相対的に低くなってくるように感じます。

ハイブッシュ系やラビットアイ系など品種系統などが異なっても、似た傾向があります。

「ブルベリーの森あづみの」では植えつけのときに、ブルベリーの株周りに、土壌pHの調整と獣除けのため、硫黄粉を散布しています。

しかし、基本的に植え付けの時のみなので、散布範囲は狭く、明らかに、成長後のブルーベリーの根は、もっと広く張っています。

硫黄粉は比較的安定している物質ですが、当然、効果は何年も続かないので、ブルベリーの根がある部分は、大半は、土壌酸度が調整されていないはずです。

それにもかかわらず、あまり関係なく成長していきます。

最近の、群馬県の農業試験場の研究で、生育の良い圃場と悪い圃場の土壌を比較したところ、土壌の空隙率や炭素による差はあったものの、土壌pHにより差が無かったという報告もありました。

この研究の細かい因子がよくわからない点もありましたが、おそらく、成木となった園の比較だと思われます。

地植えのブルーベリーの場合、土壌pHは、初期成長や共生菌との共生の促進に影響があるものの、

生育や共生菌との共生が進むにつれて、相対的に影響が低くなるのではないかと、今のところは考えています。

他の果樹を作っている農家さんに聞いても、そもそも多年生植物は、年々、肥料等への依存度が下がっていく傾向があるようです。

ブルベリーや茶などの酸性土壌系の作物は、過酷な環境に適応する必要があった分、共生菌への依存度が高めだとは思いますが、地植え、草生栽培の多年生植物は、共生菌などとの共生関係が徐々に成立していくからなのかもしれません。

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