長野県安曇野のオーガニックブルーベリー農園「ブルーベリーの森あづみの」
オーガニックな環境のブルベリー農園は、害虫が急激に増えることはありませんが、見回りの時に、気がついた害虫はとるようにしています。
今回は「秋の農園パトロール」について、どんな虫を捕ればよいか、紹介します。
ミノムシ

ミノムシは一匹一匹は、それほど食害が大きくありません。
しかし、ある程度の数がいると食欲も増すようで、被害が大きくなる場合がありますので、見かけたらとっています。
葉っぱの裏についているので、取って、少し離れた場所に落とすだけで、戻ってこれません。
ドクガの卵

ドクガは、春と秋に発生し、春の方が被害が大きくなります。
生まれたての集団でいる頃に最も食害が大きくなるため、生まれた直後か生まれる前の卵塊の状態で見つけると、被害がなくなります。
毛の塊のような見た目ですが、葉の裏のついているので、少々わかりにくいかもしれません。
見つけ次第、捕っています。
カマキリの卵

カマキリは、イラガの幼虫などの害虫をよく食べてくれます。
益虫なので、卵をみつけたら、残しています。
写真はオオカマキリの卵ですが、種類によって卵の大きさや形が異なります。
シオヤアブの卵

シオヤアブは、コガネムシ(成虫)などの天敵で、益虫です。
卵は、ドクガとは異なり、メレンゲのような質感です。
間違えて駆除しないように注意しましょう。

ドクガの食べ跡を見つけましたが、ドクガの幼虫はどこにもいませんでした。
すでに天敵が私のかわりに駆除してくれていたようです。
このように大発生はしないのが、通常の生態系ですが、農地では、この機能が弱くなってしまう場合があります。
なるべく、自然をよく観察しながら、自然のエネルギーをたくさんお借りできる環境を整えていきたいと思っています。

ちなみに、「有機」の語源である「天地有機」。
「天地(宇宙、世界)に機(法則)有り」つまり、自然の法則に寄り添ったものという意味になります。
現在でも、「『有機的』なつながり」といった、法則・機能の表現で使われることもあります。
英語の「オーガニック」、欧州圏の「ビオ」もほぼ同じ意味になります。
有機JASの規格(JAS1605 有機農産物)でも、同様の表現をされており、基本的には「自然栽培」に近いものを目指していることがわかります。
農業の自然循環機能の維持増進を図るため,化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として,土壌の性質に由来する農地の生産力(きのこ類の生産にあっては農林産物に由来する生産力,スプラウト類の生産にあっては種子に由来する生産力を含む。)を発揮させるとともに,農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること。
JAS1605 有機農産物 4 a)
何故か有機肥料の農業と表現されることが多く、少々、誤解のイメージがあるようにも思います。
私は農法を聞かれた際には、「有機(オーガニック)農業」ですと説明しています。
取り組んでいることを商品にも表示ができるように有機JASの認証も取得しています。
私は農薬は使用していませんし、肥料は、基本的に植え付け時に、僅かに有機肥料(菜種油かす)を与えるだけです。
栽培自体は、無農薬とも言ってもいいのかもしれませんが、資材の使用の有無ではなくて、生物的なつながりを大切にしているという意味で、「見ている視点」や「重視している部分」の違いではないかと思っています。