長野県安曇野にあるオーガニックブルーベリー農園「ブルーベリーの森あづみの」です。
ブルーベリーの森あづみのでは、主に、刈草などを利用してブルーベリーを育てています。※
下草にもいろいろな種類があり、土着の野草、いわゆる雑草でも問題ありません。
しかし、ブルーベリー栽培に相性が良いと感じている牧草があります。
「オーチャードグラス」という牧草です。
今回は、ブルーベリー栽培に相性のいい牧草「オーチャードグラス」について書いてみました。
下草の選定に悩んでいる方の少しでも参考になれば嬉しいです。ぜひ、最後までご覧ください。
※植え付け時には、少量の油粕と硫黄粉、木材チップを使用します。
オーチャードグラスとは?

オーチャードグラスはイネ科の牧草です。
特に珍しいわけではなく、一般的に家畜の飼料をして育てられています。
寒さや暑さに強く、育てやすい牧草です。
多年植物なので、毎年、地上部が再生し、一度生育すれば、翌年から種まきをする必要はありません。
5月頃から、花を咲かせるために、一気に伸びて、草も硬くなりますが、夏にかけて、伸びが落ち着いてきて、冬になると完全に地上部が枯れます。
オーチャードグラスを刈り取ってブルーベリーを植えた

私が安曇野でブルーベリー栽培を始めた時に、一番最初に植えた畑は、前作が牧草地でした。
オーチャードグラスが植わっていました。
前作の耕作者の方からは、綺麗に耕運して引き渡した方が良いかと心配して頂いたのですが
ブルーベリーを植えるには特に支障がなく、むしろ土壌のためには、そのままの方が良いと考えました。
オーチャードグラスは下草として活かしていこうと、そのままにしてもらいました。

オーチャードグラスが一面に生えていたところを刈取り、ブルーベリーを植えました。
春の霜よけになる

オーチャードグラスは、春に地上部が再生して、花を咲かせるため、葉を伸ばしてきます。
その時期がちょうど、4月下旬から5月上旬。
「遅霜」が発生する時期に当たります。
オーチャードグラスが回りにあると、放射冷却が起こりにくいのか、霜が降りにくいことがわかりました。
特に、株が小さな頃は、周りを囲うように伸びるので、有効です。
初夏は刈草で草マルチの供給源に

霜よけにもなるオーチャードですが、そのまま葉が伸び続けると、1m以上にもなり、ブルーベリーの下枝を覆ってしまいます。
生育には、それほど影響ないかもしれませんが、下の方の受粉に支障が出るため、霜の時期が終わったら、速やかに刈り取ります。

初夏の時期は、草の伸びが一年で最も大きい時期です。
オーチャードグラスも良く伸びますので、こまめに刈り取ります。
これが「草マルチ」として、地面を覆うため、常時数センチの刈草の層ができています。
マルチングとして保湿のほか、栄養分の供給や、微生物などの活性化にも役に立ちます。

刈草は、徐々に分解され、最終的には、炭素分が多いワラのようになるため、キノコが生えてくることも多いです。
真夏はリビングマルチになる

真夏は、全体的に草の伸びは緩やかになります。
オーチャードグラスも30~40cm程までしか伸びなくなってくるため、緩やかに整えながら、「リビングマルチ(生きた植物のマルチング)」として、保湿や地温の急上昇の防止に役立ってくれています。
雨が少ない時でも、草の、朝露から、土壌に水分が供給されます。
秋は枯れて有機物などの供給

秋になるとオーチャードグラスの地上部は完全に枯れます。
ここでも、かなりの有機物や、植物に含まれる栄養成分が供給されます。
黄金色の枯草マルチはとても綺麗で圧巻です。
冬はブルーベリーの根を守る

秋に枯れた大量の枯草は、冬はブルーベリーの根を守ってくれています。
前作の関係から、偶然、発見に至りましたが「オーチャードグラス」は管理を工夫することで、ブルーベリーと相性の良い下草だと思います。
最近の研究では、土壌の腐食ができていく過程で、有機物や微生物だけでなく、植物の根(と根の周りの微生物)の活動がとても重要なファクターだということがわかってきたようです。
様々な分解過程の有機物や、作物や作物以外の植物(の根)、微生物や小動物などの全体の活動が繋がって、土壌を作っていくのではないかと思っています。

果樹の下草の選定に悩んでいる方の少しでも参考になれば嬉しいです。
下草の管理に興味のある方は、ブルーベリー狩り等でご来園いただいた際に、お気軽にお声掛けください。

